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初恋 3

Penulis: 煉彩
last update Tanggal publikasi: 2026-01-05 00:15:10

 大学の講義が終わり、バイト先へ向かう。

 バイト帰りに今日あの人と出会った駅前を通ったけれど、もちろん会うことはなかった。

 自宅へ帰り、ベッドの上に横になる。

「はぁ……。疲れた」

 誰もいない部屋で一人、声を出す。

「明日、また会えないかな」

 どこに住んでいるのかも勤めている会社も名前すらわからないのに。無理に決まってる。人生でまた会えたらラッキーくらいの気持ちでいなきゃいけないのに。

 実際に声を出すことで願いが叶うような気がした。

 その日はシャワーを浴び、疲れていたのか深く考えることなく眠りについた。

 次の日ーー。

 昨日と同じ時間、駅前で彼を探す。

 講義が間に合うギリギリまで、その場にいて通り過ぎる人々を見ていた。

 私は何をしているんだろう。だけど手がかりもないし、彼に会う方法が他に思いつかない。

 一歩間違えれば、ストーカーになっちゃう?

 もし彼に再び会うことができたら、もう一度先日のお礼を伝え、この気持ちを諦めようと決めた。

 数日間は、いつもと変らない日々だった。

 朝は少し早めに家を出て、彼に会えた場所周辺で時間を潰し、大学へ向かう。

 親友の優菜はそんな私を見て

「会えるといいね。会えたら教えて!」

 応援してくれる。

 私が男性を意識することなんてなかったから、恋愛に対して前向きになってほしいと言ってくれた。

 彼に会いたい。

 けれど、そんなに上手くいくわけない。

 朝早く起きて、彼と会っても恥ずかしくないように自分なりにオシャレをする。

 服装も毎日悩むようになり、メイクも以前より気を遣った。

 そのためか

「最近、美桜、なんだか可愛くなったんじゃない?あの人のおかげだね」

 優菜にそう言われた。

 恋をすると、こういう風に女性として変わることができるのかな。

 やっぱり好きな人には、可愛いと思ってほしい。

 そんな日々を繰り返していた日、もう無理なんじゃないかと諦めていた時一一。

 いつもと同じように彼と出会った場所で時間を潰していた。

 今日も会えなかった、そう思い大学へ向かおうとしていた時、出会った日と同じように、スーツに身を包んだ彼が向こうから歩いて来るのが見えた。

 まだ遠くにいるけれど、すぐにわかる。

 私は近づくどころか身体が硬くなって、動けない。あんなに待っていたのに、会えるのを目標としていたのに。メイクや髪型だって、いつ会っても良いように頑張ってきた。

 なのに、手が緊張で震えてしまう。

 せっかく会えたのに、話しかけることなんてできない。気持ちが負ける。

 彼がこちらに向かって歩いて来るのに、私は彼を目で追うことしかできず、ただ立ち尽くしていた。

 お礼を言うだけなのに。

「この前はありがとうございました」

 その一言が言えない。

 諦めかけていた時、彼は私の前でなぜか急に立ち止まった。

 声をかけなきゃ!

「あの、この間はありがとうございました」

 そう伝え頭を下げる。

 返事、してくれるかな。

 そもそも私のことなんて覚えているの?

 不安が過ぎる。

「いえ。また会えましたね」

 低いけれど、聞きやすい彼の声。

 私のこと、覚えていてくれたんだ。

 それだけで十分だったのに、彼との会話を続けたかった私は

「あの!お名前、教えてください!」

 自分でも聞くはずの予定ではなかったことを彼に訊ねていた。

 この間のお礼を伝えられれば良かったんじゃないの?なんてこと言っちゃったんだろう……。

 これじゃあ、私が彼に好意があるって伝わっちゃうよね。気持ち悪く思われたりしないかな。

 やっぱり大丈夫です、すみませんと訂正をしようか悩んでいた。

 しかし

「黒崎です。黒崎 蓮《くろさき れん》」

 彼は自分の名前を教えてくれた。

 自分で名前を聞いておいて、戸惑っている私に彼は

「キミの名前は?」

 そう聞いてくれた。

「東条です。東条 美桜《とうじょう みお》と申します」

 黒崎さんは気を遣って私の名前を聞いてくれたんだ。

 普通だったら自分から名乗らなきゃいけないよね。

「美桜ちゃんって言うんですね」

 えっ。今、名前を呼んでくれた……?

 私の不安を一気に吹き飛ばしてくれる、優しいほほ笑み。私の顔、今絶対真っ赤だ。

 自分でも予想外の言葉をかけてしまったが、そのおかげで彼の名前を聞けた。十分だ。

 これで彼への気持ちを諦めよう。

 すっきりした。

 引き止めてすみませんでしたと声をかけようとした時

「良かったら、連絡先を交換しませんか?」

 黒崎さんからの提案に、耳を疑った。

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